産業医科大学医学部両立支援科学

産業医科大学の学生の皆さまへ

両立支援科学講座に興味を持っていただき、ありがとうございます。

治療と仕事の「両立支援」とは、健康問題により就業の困難を抱える人たちに対して、その人らしく就業できることを目的に医学的・産業医学的視座から多職種でアプローチする支援を指します。


 「両立支援科学」は、比較的新しい分野の学問です。これまでも、大企業を中心に、がんなどの大病を抱えた労働者が働き続けるために様々な支援が図られてきました。しかしながら、治療法の進歩や働き方の多様化、そして働く意欲のある人々の増加などにより、両立支援は学問としてさらなる深化が求められてます。高齢であっても、障害や病気を抱えていても、「戦力となる働き方をしたい」と考える労働者や、「安心して仕事を任せられる職場をつくりたい」と考える企業を支援することで、社会に貢献する学問と言えます。

 両立支援科学講座は、コースⅠに所属し、産業医を養成する教室です。当講座では、産業医が必要とする専門知識やスキルを学び、社会医学系専門医(1階建て)と日本産業衛生学会産業衛生専門医(2階建て)、労働衛生コンサルタントの取得を目指します。
 具体的には、「個人」と「組織」の双方にサービスを提供する産業保健における重要なスキルを学ぶことができます。両立支援の実践では、個人の医学的・心理的な適性を評価した上で、いきいきと本人らしく働くために必要なアプローチを深く考える経験を通じて、「個人」への理解と対応の専門性を身に着けます。また、嘱託産業医活動の実践では、労働衛生リスクの評価と改善、そして「組織」への対応を学びます。マネジメントシステムの知識など、経験だけでは不十分な要素についても、講義や実習を通じて学ぶ機会を提供します。 両立支援科学講座での修練を通して、「個人」と「組織」の健康を支援できるプロの産業医を目指して下さい。

 産業医に興味がある方や、両立支援に関心をお持ちの方は、ぜひとも両立支援科学講座を進路の選択肢の一つに入れてみて下さい。

 2023年3月31日 永田 昌子